注意:ネタバレ
カメラを止めるな!公式サイトから引用
レビュー
これは、見事に騙された。絶対に最初から最後まで早送りせずに観るべし。早送りすると最後まで観た時に絶対に後悔する。途中で観るのをやめたら、これも後悔する。最初は、低予算のゾンビ映画と思っていた。この37分間の長回しは凄い。これだけでも観る価値あり。長回しの最後のエンドロール。ここで早とちりして帰ってしまった人、残念。まだ途中です。この後に加速度的に面白くなる。後半が全て。そのための前半。正直、前半の長回しのゾンビ映画のパートは寝てしまいそうになった。いつ、面白くなるのかと半ば我慢して観ていた。我慢して観ていて良かった。そうでなければ、後半の爽快感を体験する事は出来なかった。業界の人達が絶賛するのが良く分かる。これはホラー映画ではなく業界映画。業界あるあるが詰まっている。だから業界の人達は共感できる。だから口コミで広がって行った。
撮影現場の廃墟となった浄水場。よくもこんな不気味な所を探してきた。こんな所があるんですね。登場人物も癖のある人たちばかり。普通の人がいない。個性的な面々。うだつの上がらない監督。仕事を受けたのは娘のため。家族思いの監督、日暮隆之。たまたま娘、日暮真央の好きな俳優、神谷和明が出ていたから。理由はそれだけ。娘に認めてもらいたかったのかな?映画一家。妻、日暮晴美は昔は女優。この設定も面白かった。役に入り込み過ぎる女優。入り込み過ぎるから色んな撮影現場でトラブったみたい。娘は熱血AD。ついつい熱が入って周りが見えなくなる。情熱だけは誰にも負けない。ゾンビ映画を生放送で流す。斬新な企画。女優と助監督が不倫。一緒に車で現場に来る途中事故に巻き込まれる。こんな事あるの?女優は間に合わない。台本を擦り切れるぐらい読んでいて良かったね。監督の妻が大抜擢。中止する訳にいかないからしょうがない。
ゾンビパートの小道具がチープなのも味がある。主役の女優、松本逢花は女優魂の欠片もない。涙も目薬で済まそうとする適当さ。ゾンビパートがチープすぎる。ウォーキングデッドの足元にもおよばない。しかし、この映画ではそれが正解。ウォーキングデッドのようなリアルさを追求してしまっては逆に現実感が無くなってしまう。だから、ゾンビ映画だと思って観た人は落胆する。落胆どころがゾンビ映画を冒涜していると怒りさえ覚えるはず。それは、しょうがない。ゾンビ映画と違うから。観る側が勝手にゾンビ映画と思っているだけ。だから、途中で席を立つ人もいたに違いない。もったいない話。
この映画を観ての教訓。どんなに面白くない場面が続いても早送りせず最後まで観て評価するべし。それで面白くなければ、その映画はクソ。わざと前半に面白くない場面を持って来て後半爆発する作品も存在する。正に「カメラを止めるな!」は後半爆発した。ホラー映画どころか、腹を抱えて笑ってしまった。まさかの連続。ゾンビ映画と敬遠している人も大丈夫。家族で観てもOK。むしろ、家族で観る方がいいかも。監督一家の家族愛も、ちゃんと描かれているから。でも、何回も観るかと言われれば一回で充分かな?最初のゾンビパートの長回しで眠気に襲われて朦朧としてしまったのなら、もう一回しっかりと観た方がいい。そうでなければ一回でいいかな。
驚きがこの映画、製作費300万円。役者やスタッフのギャラって、ほとんど無しに等しいね。でも、もっと驚きの興行収入30億円。これ、どうするんやろ?こんなにヒットすると思ってなかったはず。お金の分配も考えてなかったはず。これだけではないし。DVDや動画配信。そんなこんなを合わせたら、とんでもない金額。宝くじにでも当たったような感覚。でも、これって続編は作りにくいね。同じ手法で作っても種がバレてしまってる。種が分かっている手品を、わざわざ金出して観に来る人はいない。次がやりにくいから困ったもの。それは、これからの監督やスタッフの課題。俳優もみんな脇役レベルの人達やからヒット作に引っ張りだことは、いかんやろうね。なんか、一発屋で終わりそう。まさに一回限りの宝くじ当選。
業界の人達が宣伝してくれたのも大きい。今やネットの力は大きい。何でもネットで検索する時代。口コミが全て。面白いものは口コミでネットで広がって行く。宣伝費をかけずとも本物は勝手に広がって行く。逆に宣伝費をかけても偽物と見抜かれたら、それも広がって行く。諸刃の剣のネット口コミ。これを味方につけたのもヒットの要因。業界受けしたのも大きい。芸能人たちがこぞって宣伝してくれた。有名人が出ているから面白いのではない。無名の人達しか出ていなくても、面白いものは作れる。アイドル頼みの映画ばかりを量産している人たちには、「カメラを止めるな!」を教訓にして本当の映画とは何かと今一度考え直してほしい。しかし、面白かった。
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